外資系企業や海外と取引のある会社に勤務していると、外国人の来訪者と応対する機会が多くあります。その来訪者の中には、日本で勤務している駐在員やビジネスで来日する外国からの重要な顧客など様々です。
しかし、外資系企業に入社したばかりの人や転職して間もない人は、外国人の対応に慣れていないため緊張しがちです。
そうしたとき、ビジネス英会話と来客対応の基本マナーをおさえ、それぞれの来客対応での英語フレーズをしっかり頭にいれておきましょう。そうすれば、突然の外国人の訪問に際しても自信をもって対応できるようになります。
例えば、外国人との英語による来客対応は、秘書や受付係、営業部など、外国人との来客対応が多い部署で働く人たちの大切な仕事です。
そこで、来客対応の基本マナーのポイントから解説していきます。
来客対応の基本マナー
私は過去数十年間、日本や外国においての営業活動を通して多くの企業を訪問してきました。その経験から来客対応の基本マナーのポイントは、常に「お客様の立場を考えて対応する」ことと痛感しています。
誰でも、初めて外国の会社を訪問するときは不安なものです。そのとき、訪問する会社の人から笑顔で感じよく英語対応されると本当に安心します。このように、最初の面会のときから来訪者が安心できる環境をつくることが大切です。
例えば、あなたがレストランで不機嫌な顔で接客され、注文を取りにくるのが遅かったり注文を間違えたりされたら、いくら評判のよい店であっても二度とそのレストランに行きたいとは思わないでしょう。
また、来訪者には迅速に対応するように心がけましょう。来訪者の中には時間的に余裕のない人もいるからです。そして、来訪者を気遣って対応には「お客様を迎える」丁寧な英語表現を使いましょう。
来訪者の立場を考えて対応することが、来客対応の基本マナーです。次に、来客対応の基本マナーに沿った英語フレーズを紹介します。
ビジネス英会話と来客対応
来客対応のそれぞれのシチュエーションにおいて、基本マナーに沿った英語フレーズを覚えましょう。それらをきっちり覚えて使えば、外国人の来訪者はあなたの会社によい印象をもつことでしょう。常に会社の代表として来客者を応対する意識をもってください。
お客様を迎える英語(受付で使う英語)
ビジネスで外国人の訪問があったとき、まずお客様へ英語で来客出迎えの挨拶をします。そして来訪者に会社訪問の用件を聞きます。
以下は、来社した外国人のお客様への挨拶と用件を聞くときの「受付での英語対応」です。ニューヨーク、W社のアンダース スミスさんが日本のABC社の山田さんを訪れました。
Receptionist: Hello! Welcome to ABC company. How may I help you?
受付係: ABC社へようこそお越しくださいました。どのようなご用件でしょうか?
Mr. Smith: Good morning! My name is Anders Smith from W company in New York. I have an appointment to see Mr. Yamada of Sales Department at 10 am.
スミスさん: おはようございます。私はニューヨークのW社のアンダース スミスと申します。営業部の山田さんと10時に会う約束をしています。
Receptionist: We have been expecting you, Mr. Smith. Thank you for coming all the way from New York.
受付係: お待ちしておりました、スミスさん。ニューヨークからわざわざお越し頂きありがとうございます。
- ようこそ~ へお越しくださいました。どのようなご用件でしょうか?
Welcome to ~. How may I help you? 外国人が来社したとき、受付係が来客出向かえの歓迎の挨拶と用件を聞くときの「決まり文句の英語フレーズ」です。一連のセンテンスとして丸暗記しましょう。
- お待ちしておりました。
We have been expecting you. 「ずっと楽しみに待っていた」というニュアンスです。この英語フレーズも「お客様を歓迎するときのきまり文句」ですので必ず覚えておきましょう。同じ「待つ」という意味の waiting for ~よりもポジティブな意味合いがあります。
会話例のように、通常は相手から先に名前を名乗りますが、そうでない場合は、May I have your name, please? 「あなたのお名前を教えていただけますか?」と丁寧な英語表現で相手の名前を聞いてください。
この会話の場合、担当者の山田さんはスミスさんが来社することをあらかじめ受付係へ連絡してありました。このような情報の共有は、来訪者への迅速な対応のために大事なことです。
初めて外国人の来訪者に面会したときは、笑顔で感じよく英語で歓迎の挨拶をすることが基本マナーです。来訪者には丁寧な英語表現を使い、ゆっくりはっきり話すようにしましょう。
担当者の都合を確認する英語
受付係は、担当者の山田さんに来訪者が来たことを連絡します。そして、担当者の都合を確認します。
Receptionist: Mr. Smith, Could you please wait for a minute? I will see if Mr. Yamada is available.
受付係: スミスさん、少々お待ち頂けますか? 山田の都合を確認します。
- 少々お待ち頂けますか?
Could you please wait for a minute? 来客者に「少々お待ちください」と言うときの丁寧な英語フレーズです。 以下のフレーズも同じ意味として使えます。
Would you mind waiting for a minute?
Just a moment, please.
Please wait for a while.
担当者の都合を確認する時間は僅かですが、少しの時間を待ってもらうときでも、「お待ち頂けますか」と親切に対応してください。
- ~ の都合を確認してみます。
I will see if ~ is available. 人の都合を確認するときのフレーズです。以下も同じように人の都合の確認をしている会話例です。
I will see if Mr. Yamada is ready to see you.
山田があなたと会う準備ができているかどうか確認します。
I will let Mr. Yamada know that you are here
山田にあなたがいらっしゃったことをお伝えします。
以上、来訪者が担当者とアポイントがある場合の会話例をみてきましたが、次に来訪者が担当者とアポイントがない場合の英会話例を紹介します。
アポイントがない場合
時折、外国人がアポイントなしで来社するときがあります。
Receptionist: Hello! Welcome to ABC company. How may I help you?
受付係: ABC社へようこそお越しくださいました。どのようなご用件でしょうか?
Mr. Smith: Good morning! My name is Anders Smith from W company in New York. I would like to see Mr. Yamada of Sales Department.
スミスさん: おはようございます。私はニューヨークのW社のアンダース スミスと申します。営業部の山田さんとお会いしたいのですが。
Receptionist: Mr. Smith, do you have an appointment with Mr. Yamada?
受付係: スミスさん、山田とはお約束されていますか?
Mr. Smith: No, I don’t.
スミスさん: いいえ、しておりません。
Receptionist: I am afraid he might not meet people without an appointment. Anyway, I will see if he is in the office.
受付係: 彼はお約束なしの人と会うことはしないかも知れません。とにかく、彼がオフィスにいるかどうか確認してみます。
- ~ とお約束されていますか?
Do you have an appointment with ~? 面会の約束があるかどうか聞くときのフレーズです。
このような場合は、まず担当者がオフィスにいるか不在かを確認してください。オフィスにいる場合は、次の会話例のように担当者の都合を聞いて対応します。
Receptionist: Mr. Yamada is in the office right now, but he will have a staff meeting in the morning. He seems to be available this afternoon. Would you like to make an appointment with him?
受付係: 山田はオフィスにいますが、午前中はスタッフ会議があります。今日の午後は大丈夫そうですが。彼とアポイントをお取りしましょうか?
Mr. Smith: Thank you very much.
スミスさん: ありがとうございます。
下記は、担当者が不在の場合の会話例です。
Receptionist: I am sorry. Mr. Yamada is out of the office all this week and he will back here next week.
受付係: 申し訳ございません。山田は今週中外出しておりまして来週戻る予定です。
会話例では担当者が外出中ですが、ほかに下記のような理由が考えられます。
- ~ away on business: 出張中
- ~ is on business trip overseas: 海外出張中
- ~ is in a meeting with customer: 顧客と会議中
担当者が不在の場合は、来訪者に対して不在という事実と、もし担当者の予定がわかれば伝えてください。
会議室へ案内するときの英語
受付係はスミスさんを会議室へ案内します。
Receptionist: Mr. Smith, Mr. Yamada is ready to see you. I will show you up to the conference room. Please follow me.
受付係: スミスさん、山田はお会いする準備ができています。会議室までご案内します。私についてきてください。
Mr. Smith: Thank you.
スミスさん: ありがとうございます。
- 会議室
conference room 会議室のことです。meeting room でもいいです
- ~ へご案内します
show someone up to ~ 人をある場所に案内するときの英語フレーズです。
- 私についてきてください
Please follow me「私についてきてください」というフレーズです。Please come this way も同じ意味として使えます。
以下は、担当者が何らかの理由で「すぐに会えないこと」を来訪者に示唆するときの会話例文です。
Receptionist: Mr. Smith, Mr. Yamada is on a long-distance call at the moment. As I think he will be with you shortly, let me take you to the meeting room. Please follow me.
案内係: スミスさん、山田は現在長距離電話中です。まもなく参ると思いますので、会議室へお連れします。ついてきてください。
- ~ へ人を連れていく
take someone to ~ 人をある場所に連れていくときのフレーズです。
このように、来訪者を安心させるためにこれから案内する場所を伝えてください。
受付係(案内人)はスミスさんをエレベーターで10階の会議室へ案内します。
Receptionist: I will show you to the conference room. We will take the elevator to the 10th floor.
受付係: 会議室へご案内します。エレベーターで10階へいきます。
Mr. Smith: Thank you.
スミスさん: ありがとうございます。
- エレベーターに乗る
Take the elevator エレベーターに乗るときの動詞は、take を使います。
エレベーターが1階に到着してドアが開きます。エレベーターの中には誰も乗っておりません。案内人が先に乗ります。このとき、案内人はエレベーターの操作盤の近くに位置し「開」のボタンを押しながらドアをおさえます。
エレベーターが10階に到着しました。
Receptionist: 10th floor. We are getting out here. After you.
受付係: 10階です。ここで降ります。お先にどうぞ。
Mr. Smith: Thank you.
スミスさん: ありがとう。
- お先にどうぞ
After you エレベーターから降りるとき「お先にどうぞ」というときのフレーズです。
このように、エレベーターの中に誰もいない場合は、来訪者はエレベーターに後から乗り先におります。エレベーターに誰かいる場合は、案内人はドアをおさえながら、Please 「どうぞ」と言って手で方向を示し、先にエレベーターに乗ってもらい、そのあと案内人が乗ります。
来訪者が階段やエスカレーターに乗るときは 、案内人が先に上がり来訪者はその後についてきてもらいます。そのとき、Watch your step, please.「お足下にお気をつけください」と一言そえましょう。
来訪者と一緒に歩くときは、来訪者は廊下の中央を歩いてもらい、案内人は来訪者の右斜め前の 2~ 3歩先を歩きます。Was it easy to find our company?「すぐに会社は見つかりましたか?」などと声をかけると、来訪者はリラックスできます。
案内人は来訪者を連れて会議室のドアまで来ました。案内人はドアを3回ノックします。ドアが内開き(押す)場合は、案内人が、Excuse me.「失礼します」と言って先に会議室にはいり、Please come in. 「どうぞお入りください」と伝え来訪者を招きいれます。
ドアが外開き(引く)の場合は、Please come in first.「先にお入りください」と伝え来訪者を先に会議室に入ってもらいます。
外国人の来客に飲み物を出す
来訪者のスミスさんと受付係が会議室へはいりました。
Receptionist: Mr. Yamada will be with you shortly. Pleas have a seat. Would you like some coffee, tea or something else?
受付係: 山田はすぐに参ります。どうぞおかけください。コーヒー、紅茶、何かお飲みものでもいかがですか?
Mr. Smith: Thank you. Coffee would be great.
スミスさん: ありがとうございます。コーヒーをお願いします。
Receptionist: Do you take sugar or milk?
受付係: お砂糖かミルクはいりますか?
Mr. Smith: Just black, please.
スミスさん: ブラックでお願いします。
- ~ はすぐに参ります。
~ will be with you shortly.「すぐに参ります」というフレーズです。
- どうぞおかけください
Please have a seat と言って、来訪者には会議室から見て遠い席の「上座」に座ってもらいます。
- コーヒー、紅茶、何かお飲み物でもいかがですか?
また、来訪者を会議室で待ってもらうとき、飲み物を勧めることが多いです。Would you like some coffee, tea or something else? のような、お茶など飲み物を勧める英語フレーズを覚えましょう。
来訪者を見送りする英語
来訪者を見送りするときは、担当者や会議の出席者が見送ることになるのが一般的です。見送る場所は状況によりますが、会議室、エレベーターの前、会社の玄関などです。最後まで来訪者に失礼のないように気持ちよく見送りましょう。
Mr. Yamada: Thank you very much for your time today, Mr. Smith. It was really nice meeting you. We are looking forward to seeing you again.
山田さん: スミスさん、今日は時間をいただき大変ありがとうございます。再びお会いするのを楽しみにしています。
Mr. Smith: Me too, Yamada-san. See you soon.
山田さん: 私もです、山田さん。すぐにお目にかかりましょう。
Mr. Yamada: We will see you off to the entrance.
山田さん: 玄関までお見送りします。
- 今日はお時間を頂きありがとうございます。
より丁寧に「貴重なお時間」と言いたいときは、以下のように valuable, precious などの単語を使います。
- Thank you very much for your valuable time today.
- Thank you very much for your precious time today.
- ~ までお見送りします。
来訪者を見送るとき、will see you off to ~ のフレーズを使います。例えば、「私がエレベーターまでお見送りします」は以下となります。
- I will see you off to the elevator.
これまで紹介してきましたように、様々のシチュエーションでの来客対応に使える「定型の英語フレーズ」を覚えましょう。
まとめ
来客の応対は、会社の印象に影響をあたえる大切な仕事です。初めて来訪者と会うときは、来訪者が安心できる環境をつくるために笑顔で感じよく対応しましょう。
また、どのような状況においてもつねに来訪者の立場を考えて対応してください。それには、来客対応における基本的なビジネスマナーを心がけることが大事です。
さらに、来訪者が外国人の場合は、ビジネスマナーとそれぞれのシチュエーションで使える定型の英語フレーズを覚えましょう。
これらを実行すれば、外国人の来訪者の対応に慣れていない人でも問題なくできるようになります。それは会社への貢献とあなた自身のキャリアアップを意味しています。
オンライン英会話は数多くあるため、どれを選んだらよいのか迷ってしまいます。このとき、オンライン英会話サービスによって特徴は大きく異なります。例えば、オンライン英会話の「講師の国籍」「テキスト種類」「レッスン形態」などです。
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