外資系企業や、また国内企業であってもビジネスをグローバルに展開している企業のオフィスでは、外国人が日本人と一緒に働いている光景をよくみかけます。こうしたとき、あなたが働いている職場に突然、外国人の上司が着任してくることも珍しくありません。

そうしたとき、外国人上司と合わない、また外国人の上司とどのように英語でコミュニケーションとっていいのか分からなくて悩んでいる人が多くいます。

これには、ビジネス習慣や企業文化の違い、日本人の語学力、英語ニュアンスの取り違えによる誤解、外国人の気質など様々な要因があります。

英語が上手でなくても問題ありません。まず、外国人の上司とのコミュニケーションで「大切なポイント」をおさえてください。少しずつ、外国人の上司との「オフィスのビジネス英会話」に慣れていきます。

そこで、外国人の上司とのコミュニケーションにおける大切なポイントを解説していきます。

外国人の上司とのコミュニケーションで大切なこと

外国人の上司とのコミュニケーションで大切なポイントは次の2点です。

  • 何とかコミュニケーションをとろうとする姿勢
  • 常にポジティブな心構えを示す

この2点は、基本的なポイントですのでよく理解する必要があります。実際に、私が外国人の上司と仕事をしたときの経験と失敗談を含めて解説していきます。

何とかコミュニケーションをとろうとする姿勢

私が外国船会社の日本総代理店に勤務しているとき、外国本社から着任した駐在員(アメリカ人)と仕事をした経験があります。

あるとき駐在員(アメリカ人)から電話があり、プロジェクトの経過報告者を同じビル内の駐在員事務所まで届けるように依頼をうけました。

ところが、突然の電話のために慌ててしまい、駐在員が何を言っているのかよくわかりませんでした。その頃の私の語学力が足りなかったためです。また、外国人でも発音やイントネーションにそれぞれ特徴があるので、慣れないうちは相手の話の内容が聞き取れないことはよくあることです。

このときは、直ちに駐在員のオフィスへ出向き、ジェスチャーを交えながら何とかコミュニケーションをとり対応しました。敏速に対応したおかげで、かえって駐在員からは感謝されました。

このとき以降、何かの問題が生じたたきは、何とかコミュニケーションをとる努力をしました。そして、少しずつ駐在員との信頼関係が構築されていきました。

たどたどしい英語であっても、「一生懸命コミュニケーションをとろうとする姿勢」を外国人の上司は評価してくれます。ビジネスを円滑に進めるために、早い段階で外国人の上司との信頼関係を築いていきましょう。

常にポジティブな心構えを示す

私の日本人の同僚が駐在員と同じオフィスで一緒に働いていたときのことです。ある問題が発生したとき、駐在員は同僚に解決の方法を相談しました。

難しい問題を提起され、しかも同僚は実務にいそがしく、「I am very busy now, and it’s none of my business.(今、私は大変いそがしい。それに、それは私には関わりないことです)」と答えました。そのことを聞いた駐在員は怒ってしまい、それから数週間以上、駐在員とは気まずい雰囲気でした。

後から、同僚に聞いてみると、「それは私の責任の範疇の仕事ではありません」と言いたかったとのことでした。つまり、同僚としてはジョブ ディスクリプション(職務の責任範囲)を明確にしたかったのです。

この外国人上司とのコミュニケーションのトラブルは、同僚が軽率な返答をしたことです。しかし、トラブルの根本的な原因は、駐在員が同僚の返答を「ネガティブな返答」として深刻に受け取ったことです。

外国の本社から駐在員として派遣される外国人は、日本支社で高い賃金とポジションを与えられます。それだけ本社から期待されているため、駐在員本人にかかるプレッシャーとストレスは大変なものです。外国人の上司に対しては、常にポジティブな心構えを示すようにしましょう。

例えば、この場合ではまず相手の言い分を受け止め、後から自分の考えを丁寧に説明すべきです。例えば、「Yes, I will try to find a solution. But it seems beyond my responsibility. I would appreciate your giving me the job description.(何とか解決方法を見つけてみましょう。しかし、それは私の責任の範疇を超えてるようです。職務内容を頂けるとありがたいのですが)」とポジテブな心構えを示すべきです。

以上の2点は外国人の上司とのコミュニケーションにおける大切なポイントです。英語を流暢に話すことに集中するよりも、まずはこのポイントをしっかりおさえましょう。

しかし、英語を問題なく話す日本人は、外国人の上司から重宝されやすいのは事実です。そこで、外国人上司とのオフィスでよくある場面における対応と、英語の言い回しについて解説していきます。

外国人上司とのオフィスでのビジネス英会話

外国人上司とのオフィスでのビジネス英語会話を私の経験を含めて会話例をあげて解説していきます。以下は、外国人があなたの部署の上司として着任し初対面の挨拶の場面です。

外国人の上司との最初の挨拶

外国人の上司があなたの部署に着任して初対面の挨拶をするときは、上司に敬意をはらいフォーマルな挨拶をしましょう。そして、これから協力的な関係を築くために上司を歓迎する姿勢をみせましょう。そのためには、握手をしながら、相手の目をみて笑顔で挨拶してください。

営業部の山田さんの部署に、アメリカのABC本社からリチャード スミスさんが山田さんの上司として着任しました。山田さんはスミスさんと初対面の挨拶をします。

Mr. Yamada: Hello, Mr. Smith. My name is Ichiro Yamada. It’s nice to meet you. I appreciate my opportunity to work with you.

山田さん: こんにちは、スミスさん。私は山田一郎と申します。お会いできてうれしいです。あなたと仕事をする機会をうれしく思います。


Mr. Smith: I am Richard Smith. Nice to meet you too. Just call me Richard, please.

スミスさん: リチャード スミスです。こちらこそはじめまして。リチャードと呼んでください。

  • お会いできてうれしいです。

It’s nice to meet you. 初対面のときのフォーマルな挨拶です。It’s を付けないで、Nice to meet you. だけですと、カジュアルな感じになりますので、It’s をつけてフォーマルな挨拶をしましょう。

同じフォーマルな挨拶の言い回しには以下の英語フレーズがあります。

  • It’s a pleasure to meet you.
  • I am pleased to meet you.
  • あなたと仕事をする機会をうれしく思います。

「I appreciate my opportunity to work with you. (あなたと仕事をする機会をうれしく思います)」は挨拶する相手を歓迎するときの英語フレーズです。

同じ歓迎の挨拶として、以下の英語フレーズがあります。

  • I really look forward to working with you. 私はあなたと仕事をすることを楽しみしています。
  • We all have been expecting to meet you. 私たち一同はあなたをお会いするのを楽しみにお待ちしていました。
  • We’ve heard a lot about you. あなたのお噂はかねがねうかがっております
  • ~ と呼んでください

初対面の挨拶のときは、苗字にMr.をつけて、Mr. Smith と呼ぶのがビジネスマナーです。しかし、相手から Just call me ~, please.「 ~ と呼んでください」と言われたときは、上司でも First name 「名前」で呼んでも構いません。その場合、こちらからも Please call me ~.「~ と呼んでください」と言ってお互いに First name を呼び合えばより親近感がでます。そうすることで、外国人上司とのコミュニケーションを円滑することができます。

このように、着任したばかりの外国人に感じよく挨拶をしてあなたの第一印象をよいものにしましょう。そして、これらの英語フレーズを覚えてください。

外国人の上司との仕事前の雑談

日本で働いている外国人の中には、日本の慣れないビジネス習慣や文化の違い、また日本人と外国人とのコミュニケーションの違いに心配や不安をもっている人がいます。そのようなとき、仕事前に明るく挨拶をして短い雑談をしましょう。例えば、天候の話や週末にどう過ごしたかなどです。

Mr. Yamada: Good morning, Richard. How are you? How’s your weekend?

山田さん: おはようございます、リチャード。お元気ですか?週末はどうでした?


Mr. Smith: Good morning, Ichiro. I ‘m fine, thank you. I went to nearby park with my wife last weekend and enjoyed seeing autumn leaves. Seems it’ the best season in Japan now. How about you ?

スミスさん: おはようございます、一郎。元気ですよ。ありがとう。週末は妻と公園へ行って紅葉を楽しんできました。日本は今は最高の季節のようですね。君はどうでした?


Mr. Yamada: I went to Meji jingu. It’s so beutiful to see leaves of ginkgo trees changed the color to yellow.

山田さん: 私は明治神宮へ行きました。イチョウの葉が黄色に変わって綺麗だったですね。

このようにして、仕事を始める前に雑談をすることは外国人の上司とコミュニケーションを深めるコツです。また、外国人の上司と時々ランチの時間を共有することも円滑なコミュニケーションを構築するよい方法です。

外国人と雑談をしたほうがよい理由は、あなたが駐在員の立場として考えればよく理解できることです。私は中南米のパナマに駐在した経験があります。そのとき、メキシコ人の同僚が気楽に話しかけてくれたおかげで、全く異なる文化の中で、オフィスの他のスタッフともよい関係を築くことができました。外国人の上司へのちょっとした気遣いが必要です。

このように、日常英会話も必要ですので、ラジオやテレビ英会話、オンライン英会話などを利用して普段から日常英会話を練習しておくといいです。

外国人の上司との仕事の進め方

外国人の上司の立場を理解しながら、仕事はなるべく前倒しに進めるようにしましょう。私も外国人上司の求めているものを先読みして、要求される前に提示して感謝された経験があります。以下は外国人の上司との仕事の進め方の会話例です。

Mr. Smith: Can you check shipping data of each trading company for USA by product? Because, I need to report it to our head office right away.

スミスさん: アメリカ向けの各貿易会社の出荷データを商品ごとにチェックしてくれますか?すぐに本社へそれをレポートしないといけないので。


Mr. Yamada: I have already done it, Richard. But, would you check the document I made before you send it to our head office?

山田さん: すでにやり終えました、リチャード。しかし、本社へそれを送る前に資料を確認して頂けますか?


Mr. Smith: It’s great, Ichiro. You are always such a big help. I don’t know what I’d do without you. I will check your document.

スミスさん: よかったです。一郎。いつも大変助かります。君がいなかったら大変です。資料は確認しておきます。

このように、外国人上司のあなたへの信頼感は日頃の仕事の進め方からも生まれます。それはあなたの仕事とコミュニケーション能力への評価でもあります。

外国人の上司への依頼の英語フレーズ

  • ~ して頂けますか?

会話文の Would you  ~ は「相手の意向」を聞く丁寧な英語表現です。Could you ~ も同じく「~ して頂けますか」と日本語に訳せますが、これは{可能かどうか」を聞くときの表現です。

上の会話文の場合は上司の意向を聞いてるので、Would you ~ が適当です。状況によって使い分けるようにてください。また、上司とFirst Nameで呼び合っていたとしても、ビジネスマナーとして上司には丁寧な英語表現を使いましょう。

依頼をするときの丁寧な英語表現で、ほかにも以下のようなフレーズがあります。

mind「気にする」という意味の動詞を使って依頼するとき、Would you mind if I ask you to check the document? は、直訳すると「資料を確認することを気にしますか?」ですが、「資料を確認して頂けますか?」と意訳ができます。答えるときは「はい、できます」は、No, I don’t mind. です。Yes と言ってしまいがちですので気をつけてください。

また、もっと丁寧な言い回しとしては、I would appreciate if ~ 「~ して頂けましたらありがたいのです」という表現がありますが、かなり丁寧な言い廻しですので「顧客へ依頼する」とき使うのがいいです。

これらの丁寧な英語の言い回しを覚えてください。

山田さんとスミスさんの会話は続きます。

Mr. Yamada: By the way, what do you think about my plan that we will have a global meeting? I would like to invite all staff in charge of this sales promotion scheme from all over the world to Tokyo.

山田さん: ところで、グローバル会議を開くという私の計画をどう思いますか?私はこの販売促進計画を担当する全てのスタッフを世界中から東京へ招待したいと考えています。


Mr. Smith: No problem, Ichiro, since you have already set up a goal of the meeting. Please go ahead.  I will leave the meeting process to your discretion. Let’s work out the details later.

スミスさん; 君はすでに会議の目標は設定しているので問題ないですよ、一郎。進めてください。会議のプロセスは君の裁量に任せます。詳細は後で煮詰めましょう。


Mr. Yamada: Yes, certainly, Richard. I will manage the meeting and will also invite our customer to the meeting. I am sure that it’s the best way we can improve our revenue. I have a confidence to have a constructive discussion and lead the meeting to the success.

山田さん: ありがとうございます、リチャード。承知しました。私が会議を仕切ります。そして、私は我々の顧客を会議に招待します。私は建設的な話し合いをして会議を成功に導く自信があります。

この会話は私が外国のグローバル企業に勤務していたときの、アメリカ人の上司との実際の会話です。外国の企業文化の中で働いていた私の上司は、業務のプロセスよりも成果を重要視していました。

担当者をプロフェッショナルの専門家とみて仕事を任せていたので、業務の目標さえ決めておけば進捗状況を逐一報告する必要はありませんでした。また、山田さんの会話でわかるように、外国人の上司には自分の意見をストレートに伝えることが大切です。

  • ~ の担当

in charge of ~ は「~ の担当」という意味で使えます。例えば、「私はABC工場の経理担当です。」と言いたいときは、I am in charge of accounting at ABC factory. また、responsible for ~ 「~ の責任者」とも言い換えられます。

  •  詳細を煮詰める

会話文でスミスさんは山田さんの計画に賛成していますが、後で話し合う必要があるようです。その場合、Let’s work out details later.「後で詳細を煮詰めましょう」言う日本語的な表現が使えます。

上司から依頼されたときの返答

  • 承知しました

会話文の Certainly 「承知いました」は承諾するときの丁寧な返答の表現ですので、上司から依頼を受けたときの返答として使うといいです。

日本語でも同意するときオーライと言います。英語で All right ですが、これは承諾するときのカジュアルな表現です。しかし、「しかたがないけど承諾する」ようなニュアンスも含むことから、上司への返答としては不適当です。

まとめ

外国人の上司には、まず「一生懸命コミュニケーションをとろうとする姿勢」をみせる必要があります。そして、外国人上司からの依頼や質問に対して、それが難しいそうな問題と感じたとしても、常にポジティブな考えを示しましょう。

これらの基本的なポイントをおさえておけば、英語が苦手であっても基本的には問題ありません。少しずつ信頼関係が構築されていきます。

そして、外国人上司と会話を重ねるうちに、上司の英話の言い回し、英語の発音やイントネーションに慣れてきます。そのためには、普段から日常英会話を練習して、仕事前に明るく挨拶をして短い雑談をするようにしましょう。

そうすることによって、外国人上司も日本のオフィスの雰囲気に早く慣れることができます。外国人上司に英語を話すときに気をつけたいことは、ビジネスマナーとして丁寧な英語表現を使うことです。

仕事は、自分自身の考えと責任において外国人上司の指示を待つことなく、積極的に前倒しに進めていきましょう。外国人上司はあなたを業務の専門家として信頼しています。また、外国人上司へは、あなたの考えをストレートに自信をもって伝えてください。

外国人上司とのオフィスでの英会話による円滑なコミュニケーションは、必ずあなたのビジネスを成功に導くでしょう。